金剛界曼荼羅の仏たち(1)



 梵名はインドの名前   
 密号は密教の名前
 三形は仏・菩薩が一切衆生を平等の理に入らせる為に起こした本誓が、
    形となって現れたもの。本誓を現す持物。
 微細会の各仏さまは、三鈷杵の中に描かれている。

1.毘盧遮那如来(びるしゃなにょらい)
成 身 会 三昧耶会 微 細 会 供 養 会 四 印 会 降三世会 降三世三昧耶会
梵名 マカビルシャナ  密号 遍照金剛・無障金剛  
  毘盧遮那如来・大日如来
成 身 会 身体の色は白肉色で智拳印を結び、諸々の相を円満した姿。一切成就義菩薩が毘盧遮那如来となっ た事実とその修行過程を示している。
三形は卒都婆(仏舎利)=仏の骨が収めいた物で、釈迦とのかかわり合いを示しているという。五輪塔として日本では普及した。
三昧耶会 蓮華の上に五鈷杵があり、その上に仏塔が置かれている。毘盧遮那如来の誓願である衆生救済の願いが仏塔として示されたという。
微 細 会 微細とは、金剛石のように堅固で壊れることのない智恵の理法という意味で、毘盧遮那の智恵がいかなる微細なものにも行き渡っていることを示している。
供 養 会 二手は金剛拳。毘盧遮那如来自らも供養の実践のために身を変えることにより、人々が菩提心に心を振り向けるように現されている。
四 印 会 成身会に同じ。悟りを得た結果の荘厳された姿が強調されたもの。
降三世会 成身会に同じ。過去・現在・未来の強力な煩悩に立ち向かう姿を現している。
降三世三昧耶会 蓮華の上に横にした五鈷杵があり、その上に仏塔が置かれている。

2.金剛波羅蜜菩薩(こんごうはらみつぼさつ)
成 身 会 三昧耶会 微 細 会 供 養 会 四 印 会 降三世会 降三世三昧耶会
梵名 サトババジリ  密号 堅固金剛
身体は青色。阿如来が毘盧遮那を供養する為に出現させた女尊。金剛は菩提心、波羅蜜は彼岸に至るという意味で、菩提心によって、彼岸に到達するという誓願を持った菩薩です。堅固な菩提心を得て、その智の中より菩提心の光明を流出し、普く十方世界を照らして、一切衆生の菩提心を浄めて1つに収める。一切衆生に悟りを開かせる智慧を持った菩薩。この尊は教令身によって、忿怒身を現して不動明王となる。
三形は五鈷杵=五鈷杵が立っているのは堅固な菩提心の象徴で、菩提心を求める心を現している。
成 身 会 羯磨衣を着ている。左手は掌を外に向けた拳。右手は地に触れている触地印。
三昧耶会 蓮華の上に五鈷杵が立っている。堅固な菩提心の象徴。
微 細 会 左手に三鈷杵が乗った蓮華を持っている。右手は触地印。
供 養 会 両手で三鈷杵が乗っている、蓮華を持っている。
四 印 会 蓮華の上に五鈷杵が乗っている。
降三世会 左手で蓮華を持ち、右手は触地印。
降三世三昧耶会 蓮華の上に五鈷杵が乗っている。

3.宝波羅蜜菩薩(ほうはらみつぼさつ)
成 身 会 三昧耶会 微細会 供養会 四 印 会 降三世会 降三世三昧耶会
梵名 ラタナバジリ  密号 持宝金剛
身体は白黄色。宝生如来が毘盧遮那を供養する為に出現させた女尊。宝は財宝のことで、財福を意味し、布施波羅蜜の徳を現す。無限の宝珠の功徳の象徴を得て、受け用いる為に宝波羅蜜の姿をなし、毘盧遮那の右の月輪に住す。
三形は三弁宝珠=悪疫を治し、蛇の毒を消し、濁った水を清めるなどの様々な願い事を叶える。
成 身 会 羯磨衣を着ている。左手に宝珠を乗せた蓮華を持ち、右手は円い物を持っている。
三昧耶会 蓮華の上に三弁宝珠が乗っている。
微 細 会 左手は三弁宝珠が乗った蓮華を持ち、右手は与願印。
供 養 会 両手で三弁宝珠を乗せた蓮華を持っている。
四 印 会 蓮華の上に三弁宝珠が乗っている。
降三世会 左手で三弁宝珠を乗せた蓮華を持ち、右手は与願印。
降三世三昧耶会 蓮華の上に三弁宝珠が乗っている。

4.法波羅蜜菩薩(ほうはらみつぼさつ)
成 身 会 三昧耶会 微 細 会 供 養 会 四 印 会 降三世会 降三世三昧耶会
梵名 ダルマバジリ  密号 清浄金剛・蓮華金剛
身体は赤肉色無量寿如来が毘盧遮那を供養する為に出現させた女尊。すべての事物は、そのままで真実の相を現しているという法は清浄であるから、汚泥に咲く蓮華のように汚れることなく清浄であるので、蓮華によって象徴される。
三形は蓮華・独鈷=真実の法は清浄であるので、蓮華によって象徴される。
成 身 会 羯磨衣を着ている。三摩地印を結び、印の上に蓮華を立て、その上に経典を乗せている。
三昧耶会 蓮華の上に独鈷を茎とする未開敷蓮華立てている。
全ての災いや病気を除き、命が尽きた後には、極楽浄土へ生まれ変わることが出来るという意味。
微 細 会 阿弥陀定印の上に独鈷杵を立てている。
供 養 会 両手で蓮華を持ち、その上に独鈷杵を茎とした未開敷蓮華を立てている。
四 印 会 蓮華の上に経典を載せ、その上に独鈷を茎とした未開敷蓮華を立てている。
降三世会 両手で蓮華を持っている。
降三世三昧耶会 蓮華の上に独鈷を茎とする未開敷蓮華立てている。


5.羯麿波羅蜜菩薩(かつまはらみつぼさつ)
成 身 会 三昧耶会 微 細 会 供 養 会 四 印 会 降三世会 降三世三昧耶会
梵名 カツマバジリ  密号 妙用金剛・作業金剛
身体は緑色。不空成就如来が毘盧遮那を供養する為に出現させた女尊。羯磨は作業という意味で精進業という。たゆまず努力をし、成就円満する妙用を現したものを金剛業といい、一切の生きとし生けるものの利益のために、怠ることなく精進する姿を人格的に表現したもの。
三形は
十字三鈷杵=衆生の身・口・意(三業)と仏の身・口・意(三密)を現し、2つの三鈷杵が交わるのは、衆生の三業と仏の三密が一体となることを示している。
成 身 会 羯磨衣を着ている。左手に宝珠を乗せた蓮華を持ち、右手は十字三鈷杵を持っている。
三昧耶会 蓮華の上に、十字にした三鈷杵が乗っている。
微 細 会 左手に十字三鈷杵を乗せた蓮華を持ち、右手は剣印。
供 養 会 両手で十字三鈷杵を乗せた蓮華を持っている。
四 印 会 蓮華の上に、十字三鈷杵が乗っている。
降三世会 左手に蓮華を持ち、右手は仰げて差し出している。
降三世三昧耶会 蓮華の上に、十字三鈷杵を乗せている。


6.阿閦如来(あしゅくにょらい)
成 身 会 三昧耶会 微 細 会 供 養 会 降三世会 降三世三昧耶会
梵名 アキシュビヤ  蜜号 不動金剛・怖畏金剛
身体は青色。毘盧遮那の鏡のように一切を明らかにする智恵(大円鏡智)を現しており、菩提の徳を司っている。菩提心を司る、宝幢如来・天鼓雷音如来・施餓鬼供養の時の妙色身如来と同体であるとされている。
三形はタテヨコの五鈷杵=横のものは衆生が本来具わっている菩提心を表し、縦のものは本来具わっている菩提心に対して、修行によって芽生える菩提心を表す。本来の菩提心を実際の衆生のために起こすことを現す。
成 身 会 左手は拳にしてお臍の前におき、右手は触地印。
三昧耶会 蓮華の上に縦と横の五鈷杵が乗っている。
微 細 会 左手は掌を上に向けお臍の前に置き、右手は触地印。
供 養 会 左手は拳にしてお臍の前におき、右手は触地印。
降三世会 宝冠を戴き、通肩の衣を着て、金剛拳にして胸の前で交差している。この形は強くて教化しにくい煩悩を、降伏させることを表している。
降三世三昧耶会 蓮華の上に縦と横の五鈷杵が乗っている。


7.金剛薩埵(こんごうさった)
成 身 会 三昧耶会 微 細 会 供 養 会 四 印 会 理 趣 会
梵名 バザラサトバ  密号 真如金剛
身体は肉色。普賢菩薩と同体。真言宗では、毘盧遮那如来の教えを究めた第二祖 龍智菩薩とされている。
金剛サッタは元は普賢菩薩で、毘盧遮那如来の二手の掌より、五智五鈷杵を受け、灌頂を与えられたので金剛手となる。一切衆生の菩提心を本体として、その性を堅固であるので金剛と名付け、一切衆生はこの金剛サッタの加持力によって発心するという。衆生が本来具わっている菩提心を体とするから、菩提心を起こして密教の教えを受け止める衆生の代表者の立場である。
三形は五鈷杵=五鈷杵が立っているのは堅固な菩提心の象徴で、菩提心を求める心を現している。
成 身 会 右手で五鈷杵を斜めにして胸の前で持ち、左手は五鈷鈴を持って膝に当てている。
右手の五鈷杵は如来の五智を現し、左手の五鈷鈴は衆生の迷いを驚覚させて菩提心を起こさせる。
三昧耶会 立っている五鈷杵。
微 細 会 身体は肉色。右手で五鈷杵を斜めにして胸の前で持ち、左手は五鈷鈴を持って膝に当てている。
供 養 会 両手で蓮華を持ち、その上に独鈷杵を茎とする未開敷蓮華を載せている。
四 印 会 身体は青色。右手で五鈷杵を斜めにして胸の前で持ち、左手は五鈷鈴を持って膝に当てている。
理 趣 会 身体は白肉色。五仏の宝冠を戴き、右手で五鈷杵を斜めにして胸の前で持ち、左手は五鈷鈴を持って膝に当てている。


8.金剛王菩薩(こんごうおうぼさつ)
成 身 会 三昧耶会 微 細 会 供 養 会 降三世会 降三世三昧耶会
梵名 バザララジャ  密号 自在金剛・執鉤金剛
身体は肉色。阿如来の徳の一面を現した尊。阿如来の金剛サッタの位で、すでに菩提心を起こし、その誓願に基づき衆生利益に自在になり、一切衆生がなびいてくるようになった境地を現す。自在金剛は自利利他行に妨げがなく、自在であることを象徴している。引き寄せる道具の金剛鉤を手にするという意味で執鉤金剛とも言われる。
三形は双立金剛鉤=一切如来と一切の衆生を引き寄せることを象徴している。
成 身 会 二手金剛拳にして、胸の前で交差している。
三昧耶会 蓮華の上に、双立金剛鉤が立っている。
微 細 会 身体は肉色。二手金剛拳にして、胸の前で交差している。
供 養 会 双立金剛鉤が載った蓮華を、両手で持っている。
降三世会 身体は肉色。二手金剛拳にして、胸の前で交差している。
降三世三昧耶会 蓮華の上に、双立金剛鉤が立っており、一鉤が交差している。


9.金剛愛菩薩(こんごうあいぼさつ)
成 身 会 三昧耶会 微 細 会 供 養 会 降三世会 降三世三昧耶会
梵名 バザララギャ  密号 離楽金剛・離愛金剛  
三形 上下の一鈷を交差させた双立三鈷杵
身体は肉色。衆生を菩提に愛着させる働きは、愛染明王の働きでもあるので、愛染明王と同体とされる。。衆生が具える愛着や貪欲は、その本源を洞察して見れば金剛サッタの清浄な菩提心の三昧の境地と同じなので、菩提への愛着として肯定され、その境地が尊格化された。愛着心は一切衆生に安楽をもたらそうとするものであり、大悲の現れでもある。阿如来が菩提心を発して自在に衆生を愛する徳を現す。
成 身 会 両手で箭(矢)を持っている。
三昧耶会 蓮華の上に2つの三鈷杵が立ち、上下の一鉤が交差している。
微 細 会 弓を持ち、箭(矢)を射ろうとしている。
供 養 会 上下の一鉤が交差している三鈷杵が立ってる、蓮華を両手で持っている。
降三世会 二手金剛拳にして、胸の前で交差している。
降三世三昧耶会 蓮華の上に2つの三鈷杵が立ち、上下の一鉤が交差している。


10.金剛喜菩薩(こんごうきぼさつ)
成 身 会 三昧耶会 微 細 会 供 養 会 降三世会 降三世三昧耶会
梵名 バザラサド  密号 讃嘆金剛・安楽金剛
身体は肉色。両手を金剛拳にして胸の前に置く。阿如来の月輪に住す。金剛サッタの菩提心が人の苦を除くという行となって、一切衆生に振り向けられるようになるので、この尊の徳を褒め称える境地は、一切衆生に等しく喜びを分かち、安楽と満足が得れらる。
三形は二手相並べて指を弾く形(たんじ)=道場へ入る時に、仏・菩薩への挨拶として3回指を弾く。歓喜を抱いてもらう表現で、仏・菩薩の歓喜が一切衆生に安楽と満足をもたらすので、この密教名が付いた。
成 身 会 両手を金剛拳にして胸の前に置く。
三昧耶会 蓮華の上に二手を置いて、指を弾く形。
微 細 会 身体は肉色。両手を金剛拳にして胸の前に置く。
供 養 会 宝珠を載せた蓮華を両手で持っている。
降三世会 二手を金剛拳にして胸の前で交差している。
降三世三昧耶会 蓮華の上に二手を置いて、指を弾く形。


11.宝生如来(ほうしょうにょらい)
成 身 会 三昧耶会 微 細 会 供 養 会 降三世会 降三世三昧耶会
梵名 バザラサンババ  密号 平等金剛・大福金剛 三形 三弁宝珠
身体は黄色。開敷華王如来と同体。完全な教えを生ずる徳を司り、如意宝珠から苦を除く行の功徳を出生して、一切衆生を利益することを本誓とする修行の徳を司る。毘盧遮那が静かな境地に入って、右肩からの上から金色の光を放って、南の無量世界を照らし出して、この尊が現れたという。修行の徳を満たすことによって、その功徳を普く衆生に降り注ぐ働きを持つとされ、与願印や宝珠で象徴している。
成 身 会 右手は与願印にし、左手は金剛拳にしてお臍の前におく。
三昧耶会 蓮華の上に三弁宝珠が載っている。三弁宝珠は身・口・意などを表しているという。
微 細 会 身体は黄色。右手は与願印にし、左手は金剛拳にしてお臍の前におく。
供 養 会 身体は黄色。右手は与願印にし、左手は金剛拳にしてお臍の前におく。
降三世会 身体は黄色。宝冠を頂き、通肩に衣を着て、金剛拳で胸の前で交差している。
降三世三昧耶会 蓮華の上に五鈷杵を横にし、その上に三弁宝珠を載せている。


12.金剛宝菩薩(こんごうほうぼさつ)
成 身 会 三昧耶会 微 細 会 供 養 会 四 印 会 降三世会 降三世三昧耶会
梵名 バザララタノウ  密号 大宝金剛・如意金剛  三形 光焔の三弁宝珠
身体は肉色。与願印は菩提心を生じ後に、一切衆生に功徳を施し与える誓願を現している。与願印と宝珠とで宝生如来の徳を現している。このように衆生の願望をことごとく満足させるので、虚空蔵菩薩を同体とされている。福徳智慧の両徳を備え、一切衆生を利楽する。
成 身 会 右手は宝珠を持ち、左手は与願印。
三昧耶会 蓮華に火焔のある三弁宝珠が載っている。
微 細 会 右手は与願印で、左手に宝珠を持っている。
供 養 会 両手で火焔のある三弁宝珠を載せた蓮華を持っている。
四 印 会 三弁宝珠の付いた宝冠を戴き、右手は与願印、左手は火焔のある三弁宝珠を胸の前で持つ。
降三世会 金剛拳にして胸の前で交差している。
降三世三昧耶会 蓮華の上に火焔のある三弁宝珠を載せている。


13.金剛光菩薩(こんごうこうぼさつ)
成 身 会 三昧耶会 微 細 会 供 養 会 降三世会 降三世三昧耶会
梵名 バジラテイジャ  密号 威徳金剛
身体は肉色。宝生如来の四親近のうちの一尊。宝生如来が持つ宝珠の輝きを身体とする。
三形は日輪=日輪の輝きは衆生の無知を破り、衆生と仏のあらゆる世界を輝きで包み込んで、山川草木すべてを金色に変えるという。
成 身 会 左は拳にしてモモに置き、右手は日輪を持っている。
三昧耶会 蓮華の上に日輪がある。
微 細 会 両手で日輪を支えている。
供 養 会 両手で日輪を載せた蓮華を持っている。
降三世会 金剛拳にして胸の前で交差している。
降三世三昧耶会 蓮華の上に日輪がある。


14.金剛幢菩薩(こんごうどうぼさつ)
成 身 会 三昧耶会 微 細 会 供 養 会 降三世会 降三世三昧耶会
梵名 バザラケイト  密号 円満金剛
身体は肉色。宝生如来の四親近のうちの一尊。宝生如来の右手の与願印の本誓を如意幢幡で象徴している。如意幢幡は竿頭に如意宝珠を載せ、幢幡に吹流しを付けたもの。
三形は如意幢幡=世間出世のあらゆる願いを満たすことを象徴している。
成 身 会 両手に如意幢を持っている。
三昧耶会 蓮華の上に竿頭に如意宝珠を載せ、幢幡に吹流しを付けている。
微 細 会 身体は肉色。両手に如意幢を持っている。
供 養 会 如意幢を載せた蓮華を両手で持っている。
降三世会 金剛拳にして、胸の前で交差している。
降三世三昧耶会 蓮華の上に竿頭に如意宝珠を載せ、幢幡に吹流しを付けている。


15.金剛笑菩薩(こんごうしょうぼさつ)
成 身 会 三昧耶会 微 細 会 供 養 会 降三世会 降三世三昧耶会
梵名  バザラカシャ  密号 喜悦金剛・歓喜金剛  三形 笑杵
身体は肉色。宝生如来の四親近のうちの一尊。金剛幢菩薩の布施波羅蜜の行願が満願し、普く衆生を救済し、あらゆることが成就したことを大いに喜び微笑する。また、金剛サッタの悟りの境地の喜びであり、この喜びの笑いが、一切衆生に安楽と利益をもたらす。
成 身 会 両手を金剛拳にして耳の側まで挙げ、耳の背を押さえる。
三昧耶会 蓮華の上に三鈷杵が横に置いてあり、その上で笑っている口がある。
微 細 会 両手を金剛拳にして、口元に置く。
供 養 会 横にした三鈷杵を置いた蓮華を両手で持っている。
降三世会 金剛拳にして、胸前で交差している。
降三世三昧耶会 蓮華の上に三鈷杵が横に置いてあり、その上で笑っている口がある。


16.無量寿如来(むりょうじゅにょらい)
成 身 会 三昧耶会 微 細 会 供 養 会 降三世会 降三世三昧耶会
梵名 アミタユース  密号 清浄金剛・蓮華金剛  
三形 横にした五鈷杵の上に独鈷を茎とした蓮華
身体は赤色。阿弥陀如来のこと。毘盧遮那の全ての衆生の苦悩や疑惑をそれぞれ見抜き、救済する智慧を司る。無量寿をいう名は永遠なる命を意味し、不死をサンスクリットでアムリタ、甘露と訳されるので施餓鬼のご本尊のうちの甘露王如来と同体とされる。
成 身 会 偏袒右肩で阿弥陀定印を結んでいる。
三昧耶会 蓮華の上に五鈷杵を横にし、その上に独鈷を茎とした蓮華が載っている。
微 細 会 身体は赤色。偏袒右肩で阿弥陀定印を結んでいる。
供 養 会 身体は赤色。偏袒右肩で阿弥陀定印を結んでいる。
降三世会 身体は赤色。通肩にして、金剛拳を結び胸の前で交差している。
降三世三昧耶会 横になった五鈷杵の上に独鈷を茎とした蓮華が載っている。


17.金剛法菩薩(こんごうほうぼさつ)
成 身 会 三昧耶会 微 細 会 供 養 会 四 印 会 降三世会 降三世三昧耶会
梵名 バザラダルマ  密号 正法金剛・蓮華金剛  三形 蓮華独鈷杵
無量寿如来の四親近の一尊。観音菩薩のこと。観音様は煩悩に汚れた凡夫の世界を、本性は蓮華のごとく清らかであると観察し、言葉に言い表せない正しい法を説いて衆生救済をするので、密号で正法金剛・蓮華金剛を呼ばれる。象徴の蓮華は清らかな菩提心を象徴し、凡夫の菩提心はまだ、起こされずにあるが、この尊の正しい説法によって菩提心が起こされる。
成 身 会 身体は肉色。左手で蓮華を持ち、右手で蓮華の花弁を開こうとしている。正法によって菩提心が起こされることを表現している。
三昧耶会 蓮華の上に、独鈷を茎とした蓮華を載せている。
微 細 会 左手の掌を仰向けてヒザに載せ、右手は説法印。
供 養 会 両手で独鈷を茎とした蓮華を載せた蓮華を持っている。
四 印 会 身体は赤色。左手で蓮華を持ち、右手で蓮華の花弁を開こうとしている。
降三世会 身体は肉色。両手を金剛拳にして胸の前で交差している。
降三世三昧耶会 蓮華の上に、独鈷を茎とした蓮華を載せている。


18.金剛利菩薩(こんごうりぼさつ)
成 身 会 三昧耶会 微 細 会 供 養 会 降三世会 降三世三昧耶会
梵名 バザラチキシャナ  密号 般若金剛・除罪金剛
身体は金色。左手に梵篋を載せた蓮華を持ち、右手に剣を持つ。無量寿如来の四親近。文殊菩薩のこと。文殊菩薩の剣を象徴して、金剛なる鋭利な剣を持つ菩薩という意味。
三形は剣と梵篋。剣は般若波羅多という仏の智慧を現し、仏の智慧が衆生の苦や、その原因の煩悩を断ち切ることを象徴している。梵篋(ぼんきょう)には般若経が入っているという。
成 身 会 左手に梵篋を載せた蓮華を持ち、右手に剣を持つ。
三昧耶会 蓮華の上に剣が載っている。
微 細 会 左手は金剛拳にして、右手は剣を持っている。
供 養 会 剣を載せた蓮華を両手で持っている。
降三世会 両手を金剛拳にして、胸の前で交差している。
降三世三昧耶会 蓮華の上に剣が載っている。


19.金剛因菩薩(こんごういんぼさつ)
成 身 会 三昧耶会 微 細 会 供 養 会 降三世会 降三世三昧耶会
梵名 バザラケイト  密号 不退金剛・菩提金剛
無量寿如来の四親近。金剛なる菩提の種(因)を具えた菩薩という意味。菩提の心を起こすや直ちに法輪を転じるということで、菩提樹の下の菩提道場(お釈迦様が悟りを開かれたにちなんで)で三昧の境地が種(因)となって、菩提を獲得すると即座に説法へ向かう。菩提道場という決して失うことのない境界という意味で、密号が不退金剛である。三形は八輻輪=釈迦の説法を表し、この法輪を転じることは、説法の働きを現す。
成 身 会 身体は肉色。左手は金剛拳にして腰におき、右手は法輪を胸前にかざす。
三昧耶会 蓮華の上に法輪が載っている。
微 細 会 両手で法輪を持っている。
供 養 会 両手で法輪を載せた蓮華を持っている。
降三世会 金剛拳にして胸の前で交差している。
降三世三昧耶会 蓮華の上に法輪が載っている。


20.金剛語菩薩(こんごうごぼさつ)
成 身 会 三昧耶会 微 細 会 供 養 会 降三世会 降三世三昧耶会
梵名 バザラバシャ  密号 性空金剛・妙語金剛
無量寿如来の四親近。衆生は衆生救済の仏の思いが充分に分かっていないので、衆生救済の隠れた意思を持つ如来の微妙な言葉、または仏の深い境界を安易に受け止められないように、あえて意味を隠した言葉を秘密語という。この尊は、あらゆる如来の真言の境地を速やかに成就するとされる。三形は舌に三鈷杵=如来の秘密語を象徴する。
成 身 会 左手は金剛拳にして腰におき、右手は如来舌(舌の中に三鈷杵がある)を持っている。
三昧耶会 蓮華の上に三鈷杵がある舌(如来舌)が載っている。
微 細 会 左手は金剛拳にして腰におき、右手は施無畏印。
供 養 会 両手で如来舌を載せた蓮華を持っている。
降三世会 両手を金剛拳にして、胸の前で交差している。
降三世三昧耶会 蓮華の上に三鈷杵がある舌(如来舌)が載っている。


 

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