金剛界曼陀羅の仏たち(3)



42.慈氏菩薩(じしぼさつ)
三昧耶会 微 細 会 供 養 会 降三世会 降三世三昧耶会
梵名 迅速金剛  密名 マイトレーヤ
十六大菩薩の一尊で弥勒菩薩のこと。密号の迅速は法輪を迅速に転じるという意味で、発心するとすぐに悟りを得て、法を広める菩薩と言われている。お釈迦様の後を継いで成仏する菩薩で、現在は兜率天に住み、五十六億七千万年経ってこの世に降りてくるとされている。
成 身 会 賢劫千仏として描かれているだけである。
三昧耶会 蓮華の上に軍持(水差し)が載っている。智慧の水で、法の雨を注ぐという意味。
微 細 会 身体は白肉色。左手に軍持を載せ、右手で蓋を押さえている。
供 養 会 軍持を載せた蓮華を両手で持っている。
降三世会 軍持を載せた蓮華を両手で持っている。
降三世三昧耶会 蓮華の上に軍持(水差し)が載っている。


43.不空見菩薩(ふくうけんぼさつ)
三昧耶会 微 細 会 供 養 会 降三世会 降三世三昧耶会
梵名 アモーギャダラシャ  密号 普見金剛
十六大菩薩の一尊。不空見とは決して見逃さないという意味で、五眼を開いて全ての衆生を観察する菩薩。
成 身 会 賢劫千仏として描かれているだけである。
三昧耶会 蓮華の上に独鈷が立っており、その両脇に目がある。2つの仏眼で衆生を観て、煩悩を破ることを現している。
微 細 会 身体は肉色。両脇に目がある独鈷を載せた蓮華を右手で持ち、左手は仰向けてお臍の前におく。
供 養 会 両脇に眼がある独鈷を立てて載せた蓮華を持っている。
降三世会 両脇に眼がある独鈷を立てて載せた蓮華を持っている。
降三世三昧耶会 十字金剛杵で、横の金剛杵は眼に似ている。


44.滅悪趣菩薩(めつあくしゅぼさつ)
三昧耶会 微 細 会 供 養 会 降三世会 降三世三昧耶会
梵名 アバヤジャカ  密号 普救菩薩
十六大菩薩の一尊。地獄・餓鬼・畜生に落ちた衆生を、普く救い上げるという誓願を持った菩薩。
成 身 会 賢劫千仏として描かれているだけである。
三昧耶会 蓮華の上に梵篋が載っている。梵篋はお経が入っている箱のことで、八万四千の法門に入って、衆生の障りを断ち、大空に住むことを現している。
微 細 会 身体は肉白色。左手は手を仰向けてお臍の前に置き、右手は梵篋を載せた蓮華を持っている。
供 養 会 両手で梵篋を載せた蓮華を持っている。
降三世会 両手で梵篋を載せた蓮華を持っている。
降三世三昧耶会 蓮華の上に梵篋が載っている。


45.除憂闇菩薩(じょゆうあんぼさつ)
三昧耶会 微 細 会 供 養 会 降三世会 降三世三昧耶会
梵名 ショーカタモーニルガータル  密号 解脱金剛・大救金剛
十六大菩薩の一尊。一切衆生の憂いや悩みを除く菩薩。密号の解脱は憂いと悩み、暗愚を取り除いた解脱の境地からきているという。
成 身 会 賢劫千仏として描かれているだけである。
三昧耶会 蓮華に木の枝が載っている。木の枝は無憂樹といい梵名でアショーカという。憂いや悩みがないという意味で、その枝で煩悩を払うという意味である。
微 細 会 身体は肉白色。左手は拳にして腰に当て、右手は木の枝を持っている。
供 養 会 両手で木の枝を載せた蓮華を持っている。
降三世会 両手で木の枝を持っている。
降三世三昧耶会 蓮華に木の枝が載っている。


46.香象菩薩(こうぞうぼさつ)
三昧耶会 微 細 会 供 養 会 降三世会 降三世三昧耶会
梵名 ケンダカシツチタニ  密名 大力金剛・護戒金剛
妙なる香と偉大なの力を象徴した尊。密号の大力は象の力を強い精進に喩えて焼香の徳とし、焼香は目に見えず香が残るように、精進も表に現れない悟りへの力となることを意味している。護戒とは清涼を現す塗香の徳を示しており、塗香を身体に塗ると清々しくなるように、戒も護ったなら清々しくなるという意味である。
成 身 会 賢劫千仏として描かれているだけである。
三昧耶会 蓮華の上に塗香器が載っている。
微 細 会 左手は拳にして腰におき、右手は塗香器を載せた蓮華を持っている。
供 養 会 両手で塗香器を載せた蓮華を持っている。
降三世会 両手で塗香器を載せた蓮華を持っている。
降三世三昧耶会 蓮華の上に塗香器が載っている。


47.大精進菩薩(だいしょうじんぼさつ)
三昧耶会 微 細 会 供 養 会 降三世会 降三世三昧耶会
梵名 シュラヤ  密号 不退金剛
勇猛菩薩のこと。衆生の苦しみを鎮めるために、一切の煩悩を脱している菩薩不退とは、いかなる困難で遭っても退くことのなく、勇猛果敢に突き進んで行くという意味です。
成 身 会 賢劫千仏として描かれているだけである。
三昧耶会 蓮華の上に独鈷戟(槍)が載っている。
微 細 会 身体は肉色。左手を拳にして腰におき、右手は独鈷戟を持っている。
供 養 会 独鈷戟を載せた蓮華を両手で持っている。
降三世会 独鈷戟を載せた蓮華を両手で持っている。
降三世三昧耶会 蓮華の上に独鈷戟(槍)が載っている。


48.虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)
三昧耶会 微 細 会 供 養 会 降三世会 降三世三昧耶会
梵名 アキャシャギャバ  密号 富貴金剛・円満金剛
毘盧遮那の福徳と智慧の徳を内臓した菩薩。一切の功徳を包蔵していること虚空で、富貴に富んでいて、その富貴は三界に普いている。
成 身 会 賢劫千仏として描かれているだけである。
三昧耶会 蓮華の上に三弁宝珠が載っている。三弁宝珠は福徳の境地の徳を現している。
微 細 会 身体は肉色。左手を腰におき、右手は三弁宝珠を持っている。
供 養 会 両手で三弁宝珠を載せた蓮華を持っている。
降三世会 左手を腰におき、右手は三弁宝珠を持っている。
降三世三昧耶会 蓮華の上に三弁宝珠が載っている。


49.智幢菩薩(ちどうぼさつ)
三昧耶会 微 細 会 供 養 会 降三世会 降三世三昧耶会
梵名 キジョウノウケイト  密号 智満金剛・法満金剛
如意幢幡を持って仏の智慧を現している。一切の願いを満たし、貧窮の苦しみを脱するという。
成 身 会 賢劫千仏として描かれているだけである。
三昧耶会 蓮華の上に如意幢幡が載っている。
微 細 会 身体は白肉色。左手を拳にして腰におき、右手は如意幢幡を持っている。
供 養 会 如意幢幡が載った蓮華を両手で持っている。
降三世会 如意幢幡が載った蓮華を両手で持っている。
降三世三昧耶会 蓮華の上に如意幢幡が載っている。


50.無量光菩薩(むりょうこうぼさつ)
三昧耶会 微 細 会 供 養 会 降三世会 降三世三昧耶会
梵名 アミタブラバ  密号 大明金剛・離染金剛
無量の智慧の光によって普く十方を照らす。甘露光とする経典もあり、甘露は不死の妙薬のことで、無量の長寿を与える尊ということです。
成 身 会 賢劫千仏として描かれているだけである。
三昧耶会 光明蓮華
微 細 会 身体は赤色。左手は伏せて腰に置き、右手は光明蓮華を載せている。
供 養 会 両手で光明蓮華を持っている。
降三世会 両手で光明蓮華を持っている。
降三世三昧耶会 光明蓮華


51.賢護菩薩(けんごぼさつ)
三昧耶会 微 細 会 供 養 会 降三世会 降三世三昧耶会
梵名 バダラハラ  密号 巧護金剛・離垢金剛
守護するのに賢いという意味で、衆生を護るのが巧みで、煩悩を破り無垢なる智慧を持っている菩薩。賢護菩薩と同体。
成 身 会 賢劫千仏として描かれているだけである。
三昧耶会 蓮華の上に瓶が載っている。
微 細 会 左手は拳にして腰におき、右手は瓶を載せている。
供 養 会 瓶が載った蓮華を両手で持っている。
降三世会 瓶が載った蓮華を両手で持っている。
降三世三昧耶会 蓮華の上に瓶が載っている。


52.金剛網菩薩(こんごうもうぼさつ)
三昧耶会 微 細 会 供 養 会 降三世会 降三世三昧耶会
梵名 セイリニバラハ  密名 方便金剛・普願金剛
網で魚を捕まえるように、教えの網を張って苦海に沈んでいる衆生を救済することの誓願を持った菩薩。一人も残すことなく救済をするという事を網で象徴している。
成 身 会 賢劫千仏として描かれているだけである。
三昧耶会 蓮華の上に羅網(網)が載っている。
微 細 会 身体は白肉色。左手を拳にして腰におき、右手は羅網を持っている。
供 養 会 羅網を載せた蓮華を両手で持っている。
降三世会 羅網を載せた蓮華を両手で持っている。
降三世三昧耶会 蓮華の上に羅網(網)が載っている。


53.月光菩薩(がっこうぼさつ)
三昧耶会 微 細 会 供 養 会 降三世会 降三世三昧耶会
梵名 チャンドラプラバ  密号 清涼金剛・適悦金剛
闇を照らす月の光のように無知の闇を破る尊で、月そのものでなく、月の光を尊格化したもの。日光菩薩を並んで薬師如来の脇侍となっている。密号に清涼は月の光は熱がないので、煩悩の炎を滅した清涼な境地を表している。
成 身 会 賢劫千仏として描かれているだけである。
三昧耶会 蓮華の上に三日月が載っている。三日月は修行中の心を現していて、少しづつ満ちて行く事から、自己心の菩提心が次第に円満になっていくことを現しているという。
微 細 会 身体は白肉色。左手は拳にして腰に置き、右手は月輪(月の光の形)を持っている。
供 養 会 両手で半月を載せた蓮華を持っている。
降三世会 両手で半月を載せた蓮華を持っている。
降三世三昧耶会 蓮華の上に三日月が載っている。


54.無尽意菩薩(みじんいぼさつ)
三昧耶会 微 細 会 供 養 会 降三世会 降三世三昧耶会
梵名 アクシャヤマチ  密号 宝意金剛・無尽菩薩
尽きることのない智慧を持った菩薩で、すべての衆生に満足を与えるという。観音経では、この無尽意菩薩に観音様の功徳を語っている。
成 身 会 賢劫千仏として描かれているだけである。
三昧耶会 蓮華の上に梵篋(ぼんきょう・お経を入れる箱)が載っている。智慧を現している。
微 細 会 身体は白肉色。左手は拳にして腰におき、右手は梵篋を載せた蓮華を持っている。
供 養 会 両手で梵篋を載せた蓮華を持っている。
降三世会 両手で梵篋を載せた蓮華を持っている。
降三世三昧耶会 蓮華の上に梵篋が載っている。


55.弁積菩薩(べんしゃくぼさつ)
三昧耶会 微 細 会 供 養 会 降三世会 降三世三昧耶会
梵名 ハラチバナクタ  密号 巧弁金剛
弁舌に巧みで、それを積み上げているという意味で文殊菩薩と同体をされている。
成 身 会 賢劫千仏として描かれているだけである。
三昧耶会 蓮華の上に五色雲が載っている。智慧を積み上げていることを現している。
微 細 会 身体は浅緑色。左手は拳にして腰におき、右手は雲を載せた蓮華を持っている。
供 養 会 雲が載った蓮華を両手で持っている。
降三世会 雲が載った蓮華を両手で持っている。
降三世三昧耶会 蓮華の上に五色雲が載っている。


56.金剛蔵菩薩(こんごうぞうぼさつ)
三昧耶会 微 細 会 供 養 会 降三世会 降三世三昧耶会
梵名 ヴァジュラガルバ  密号 持教金剛・立験金剛
金剛蔵とは金剛の胎児或いは金剛を懐妊しているという意味で、大智の子又は大智を具えているという意味であるという。金剛サッタと同体。
成 身 会 賢劫千仏として描かれているだけである。
三昧耶会 蓮華の上に井形の独鈷杵が載っている。四本あるのは四つの智を現している。
微 細 会 身体は白肉色。左手を伏せて膝におき、右手は宝珠を載せた蓮華を持っている。
供 養 会 両手で井形独鈷を杵載せた蓮華を持っている。
降三世会 両手で井形独鈷を杵載せた蓮華を持っている。
降三世三昧耶会 蓮華の上に井形の独鈷杵が載っている。


57.普 賢 菩 薩(ふげんぼさつ)
三昧耶会 微 細 会 供 養 会 降三世会 降三世三昧耶会
梵名 サマンタバドラ  密号 普摂金剛・如意金剛
普賢とは、あまねく祝福されたものという意味。すべての時に、所で全ての徳を具えている尊です。密号の普摂は本来、所有している菩提心を指し、如意は菩提心は諸々の功徳の宝の雨を降らせることから、如意宝珠に喩えられている。
成 身 会 賢劫千仏として描かれているだけである。
三昧耶会 蓮華の上に剣が載っている。
微 細 会 左手は拳にして膝におき、右手は剣を持っている。
供 養 会 両手で剣を載せた蓮華を持っている。
降三世会 両手で剣を載せた蓮華を持っている。
降三世三昧耶会 蓮華の上に剣が載っている。


58.那羅延天(ならえんてん)
成 身 会 三昧耶会 微 細 会 供 養 会 降三世会 降三世三昧耶会
梵名 ナーラーヤナ  密号 護法金剛・幻化金剛
外金剛部(曼陀羅の外側、四方に配されている。)二十天の一尊で東方に位置する羅刹形。身体は青黒色。ヒンドゥー教の主な諸神の一類で、仏教に取り入れられて仏法を守護する天として、密号は護法金剛をされた。
成 身 会 左手は拳にして腰におき、右手は八輻輪を持って胸に当てる。
三昧耶会 蓮葉の上に八輻輪が載っている。
微 細 会 左手は拳にして腰におき、右手は八輻輪を持って胸に当てる。
供 養 会 左手は拳にして腰におき、右手は八輻輪を持って胸に当てる。
降三世会 左手は拳にして腰におき、右手は八輻輪を掲げている。
降三世三昧耶会 蓮葉の上に八輻輪が載っている。


59.倶摩羅天(くまらてん)
成 身 会 三昧耶会 微 細 会 供 養 会 降三世会 降三世三昧耶会
梵名 クマーラ  密号 金剛鈴
外金剛部(曼陀羅の外側、四方に配されている。)二十天の一尊で東方に位置する童子形。身体は青緑色。左手は拳にして腰におき、右手は三鈷鈴を胸の前で持っている。クマーラは童子という意味で、梵天の息子とも言われているそうです。
成 身 会 左手は拳にして腰におき、右手は三鈷鈴を胸の前で持っている。
三昧耶会 蓮葉の上に三鈷鈴が載っている。
微 細 会 身体は青緑色。左手は拳にして腰におき、右手は三鈷鈴を胸の前で持っている。
供 養 会 身体は青緑色。左手は拳にして腰におき、右手は三鈷鈴を胸の前で持っている。
降三世会 身体は青緑色。左手は拳にして腰におき、右手は三鈷鈴を胸の前で持っている。
降三世三昧耶会 蓮葉の上に三鈷鈴が載っている。


60.金剛崔天(こんごうざいてん)
成 身 会 三昧耶会 微 細 会 供 養 会 降三世会 降三世三昧耶会
梵名 ヴァジュラヴィキラナ  密号 金剛舜拏(こんごうしゅんど)
外金剛部(曼陀羅の外側、四方に配されている。)二十天の一尊で身体は白肉色。頭が象で体は人間。金剛の知恵によって煩悩を破りということと、大悲の傘蓋によって心を煩悩から多い隠すという二つに解釈されるという。
成 身 会 両手で傘蓋(カサ)を持っている。
三昧耶会 蓮の葉に傘蓋が立っている。
微 細 会 両手で傘蓋(カサ)を持っている。
供 養 会 両手で傘蓋(カサ)を持っている。
降三世会 右手で傘蓋を持ち、左手は拳にして腰におく。
降三世三昧耶会 蓮の葉に傘蓋が立っている。


61.梵   天(ぼんてん)
成 身 会 三昧耶会 微 細 会 供 養 会 降三世会 降三世三昧耶会
梵名 ブラフマー  密号 寂黙金剛
外金剛部(曼陀羅の外側、四方に配されている。)二十天の一尊。身体は白肉色。梵天は創造の神として現われ、宇宙の創造を司る最高位となった。お釈迦様が成道のときに帝釈天と共に説法をして欲しいと懇願した。
成 身 会 右手は紅蓮を持ち、左手は掌を仰向けお臍の前におく。
三昧耶会 蓮の葉の上に紅蓮華がある。紅蓮華はヒンドゥー教で、宇宙創造のときにシバ神のお臍から生じた蓮華の上に梵天が座り、ここから世界が創造したという神話によっているという。
微 細 会 右手は紅蓮を持ち、左手は掌を仰向けお臍の前におく。
供 養 会 右手は紅蓮を持ち、左手は金剛拳にしてお臍の前におく。
降三世会 右手は幢幡を持ち、左手は金剛拳にしてお臍の前におく。
降三世三昧耶会 蓮の葉の上に紅蓮華がある。


   

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