成 身 会
(じょうしんえ)

1061尊。金剛界曼荼羅の基本となる三十七尊が描かれています。
別名に金剛界曼荼羅、尊格をもって表現された曼荼羅ということで大曼荼羅、仏の活動を現しているので羯磨会、九会曼荼羅の根本になるので根本会とも言います。
毘盧遮那の世界を衆生の前に現し示しているものなので、この会だけでも完成されたものであるということです。


曼荼羅図典 大法輪閣より



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1 毘盧遮那如来 17 金剛法菩薩 33 金剛塗香菩薩 65 金剛食天
2 金剛波羅蜜菩薩 18 金剛利菩薩 34 金剛鉤菩薩 66 彗星天
3 宝波羅蜜菩薩 19 金剛因菩薩 35 金剛索菩薩 67 蛍惑天
4 法波羅蜜菩薩 20 金剛語菩薩 36 金剛鎖菩薩 68 羅刹天
5 羯磨波羅蜜菩薩 21 不空成就如来 37 金剛鈴菩薩 69 風 天
6 阿しゅく如来 22 金剛業菩薩 38 地 天 70 金剛衣天
7 金剛薩? 23 金剛護菩薩 39 水 天 71 火 天
8 金剛王菩薩 24 金剛牙菩薩 40 火 天 72 毘沙門天
9 金剛愛菩薩 25 金剛拳菩薩 41 風 天 73 金剛面天
10 金剛喜菩薩 26 金剛嬉菩薩 58 那羅延天 74 焔摩天
11 宝生如来 27 金剛鬘菩薩 59 倶摩羅天 75 調伏天
12 金剛宝菩薩 28 金剛歌菩薩 60 金剛摧天 76 毘那耶迦
13 金剛光菩薩 29 金剛舞菩薩 61 梵 天 77 水 天
14 金剛幢菩薩 30 金剛焼菩薩 62 帝釈天 78 賢劫千仏
15 金剛笑菩薩 31 金剛華菩薩 63 日 天
16 無量寿如来 32 金剛燈菩薩 64 月 天


真ん中の大きな輪(大輪)は1毘盧遮那・6阿@如来・11宝生如来・16無量寿如来・21不空成就如来の住居である、宝楼閣を現しています。そして、その中の五つの中輪は五解脱輪といい、その中に小輪5つがあり月輪(がちりん)といいます。
各中輪には五仏を配し、毘盧遮那の五つの智慧を具像化しており、仏の智慧によって解脱するので五解脱輪という。


【五  仏】ごぶつ
毘盧遮那・阿しゅく如来・11宝生如来・16無量寿如来・21不空成就如来

毘盧遮那の四方に阿@如来・宝生如来・無量寿如来・不空成就如来が出生する。これは毘盧遮那が全てを統括する絶対仏としての働きを分担したものです。毘盧遮那の智慧の働きを現した仏様で、密教では五智如来(ごちにょらい)と呼んでいます。
 
法界体性智(ほっかいたいしょうち) [1・毘盧遮那 中央]
真理の世界の本性を明らかにする智慧。宇宙の自然界の現象が、そのまま如来の意思と姿であることを、すべてのものによって表現されている智慧。

大円鏡智(だいえんきょうち)[6・阿しゅく如来 東]
鏡に映るように全てものを、そっくりそのまま映している智慧。物事の成り立ちから移り変わり、結果に至る姿を正しく見通す智慧。

平等性智(びょうどうしょうち)[11・宝生如来 南]
それぞれ違った姿・形で現れているが、全てのものが平等であると見通すことのできる智慧。

妙観察智(みょうかんざつち)[16・無量寿如来 西]
それぞれに違った姿・形で現れており、みな違った特徴・個性があると見通す智慧。

成所作智(じょうそさち)[21・不空成就如来 北]
なすべき事を成し遂げる智慧。

【四  仏】しぶつ
阿しゅく如来・11宝生如来・16無量寿如来・21不空成就如来
毘盧遮那の働きを展開したもの。
須弥山の頂に至った一切如来は、五相成身の三密行によって悟りを得た報身 毘盧遮那如来を神変加持によって曼荼羅の中央に座り、あらゆる方角に顔を向ける。四仏は『四方は平等である』という認識を持ち、それぞれ東西南北へ座る。それは救いを求める全てのものを救済するということで、毘盧遮那が東西南北の全方向を統括している。

【四波羅蜜菩薩】しはらみつぼさつ
金剛波羅蜜菩薩・宝波羅蜜菩薩・法波羅蜜菩薩・羯磨波羅蜜菩薩

毘盧遮那を供養する為の菩薩で、四仏の智慧から現れたので、諸尊の能母であるから女形なのです。

阿しゅく如来は金剛波羅蜜菩薩を毘盧遮那の東(下)に出生した。
宝生如来は宝波羅蜜菩薩を毘盧遮那の南(左)に出生した。
無量寿如来は法金剛菩薩を毘盧遮那の西(上)に出生した。
不空成就如来は羯磨波羅蜜菩薩を毘盧遮那の北(右)に出生した。

この四菩薩は毘盧遮那如来に、ただひたすら奉仕活動をします。





【十六大菩薩】じゅうろくだいぼさつ
金剛さった・金剛王菩薩・金剛愛菩薩・10金剛喜菩薩・12金剛宝菩薩・13金剛光菩薩・14金剛幢菩薩・15金剛笑菩薩・17金剛法菩薩・18金剛利菩薩・19金剛因菩薩・20金剛語菩薩・22金剛業菩薩・23金剛護菩薩・24金剛牙菩薩・25金剛拳菩薩
各四仏の四方に出生する菩薩たちを『四親近菩薩(ししんごんぼさつ)』といいます。
親近とは重要な人に付随して、その働きを助ける役割を分担します。

四仏の四つの徳を展開させたもので、阿しゅく如来の四親近菩薩は『菩提心の徳』 宝生如来の四親近菩薩は『福徳荘厳の徳』 無量寿如来の四親近菩薩は『智慧の徳』 不空成就如来の四親近菩薩は『方便の徳』と配されます。

元来は密教以前(顕教)の存在であった一切成就義菩薩が、一切如来の加持を受けて大菩薩となり、毘盧遮那如来の媒介を経て、金剛界曼荼羅に出生して各自適切な位置を与えられます。


【内四供養菩薩】ないしくようぼさつ
26金剛嬉菩薩・27金剛鬘菩薩・28金剛歌菩薩・29金剛舞菩薩
毘盧遮那が四仏(2・3・4・5)の供養に応えて現した菩薩。
毘盧遮那が悟りの徳に応じ、自らの内証から四供養菩薩を出現させて、四仏の徳を供養する。四仏の悟りの境地の徳がそれぞれに異なるために、毘盧遮那は四菩薩を現した。

26の金剛嬉菩薩
27の金剛鬘菩薩
28の金剛歌菩薩
29の金剛舞菩薩を出生した。





【外四供養菩薩】げくようぼさつ
30金剛焼香菩薩・31金剛華菩薩・32金剛燈菩薩・33金剛塗香菩薩
さらに毘盧遮那を供養する為に出生させた菩薩。
四仏は自己の悟りの境地の徳をもって、毘盧遮那を供養する為に四菩薩を現した。その悟りの境地の徳がそれぞれ違うので、四種の菩薩を現した。

阿しゅく如来が金剛香菩薩(左下)を出生した。
宝生如来が金剛華菩薩(左上)を出生した。
無量寿如来が金剛燈菩薩(右上)を出生した。
不空成就如来が金剛塗香菩薩(右下)を出生した。





【四摂菩薩】
34金剛鉤菩薩・35金剛索菩薩・36金剛鎖菩薩・37金剛鈴菩薩
毘盧遮那が外供養菩薩の供養に応えて現せた菩薩。
衆生と諸仏との2つの立場が考えられるという。1つは全ての衆生を教化し、救う徳を具えている。一切衆生を鉤(かぎ)で釣り、索で引き寄せ、鎖で縛り、鈴で喜ばせる四つの徳が具わっているという。そして、諸仏を引き寄せ、入らしめて衆生界に留めさせ、歓喜させる。

金剛鉤菩薩(下)・金剛索菩薩(左)・金剛鎖菩薩(上)・金剛鈴菩薩(右)を出生させた。





毘盧遮那+四仏〜四摂菩薩までを三十七尊といいます。


【四大神】
38地天・39水天・40火天・41風天

【二十天】(外金剛部)
58那羅延天・59倶摩羅天・60金剛摧天・61梵天・62帝釈天・63日天・64月天・
65
金剛食天・66彗星天・67蛍惑天・68羅刹天・69風天・69金剛衣天・71火天・
72
毘沙門天・73金剛面天・74焔摩天・75調伏天・76毘那耶迦・77水天

【諸尊の相互関係】
 阿@如来・宝生如来・無量寿如来・不空成就如来が毘盧遮那を供養する為に、
  四波羅蜜菩薩を出生する。四仏がひたすら奉仕活動をする。
 毘盧遮那がこの供養に応え、内四供養菩薩を現せる。
 内四供養菩薩が供養に応えて、更に毘盧遮那を供養する為に外四供養菩薩を
  現せる。
 益々、力を増した毘盧遮那はその供養に応える為に、四摂菩薩を出生させる。

毘盧遮那と四仏の相互供養は、悟りの智慧が躍動している姿という。



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